Think Bee! NARRATIVE

1960年 ~ 映画にも登場、 大ヒットの夏かご。

2023.09.06
歴史

Think Bee!の総合カタログ「Bee! Collection vol.3」 2012年11月号より、会長(河合 史郎)の連載記事をアーカイブしたものです。

映画にも登場、 大ヒットの夏かご。

1960年(昭和35年) 日活映画全盛時代、写真の“ロール夏 かご”は、当時流行していた、裾が落下傘のようにふくらんだ、ウエストが細く見える 「パラシュートスカート」とマッチして、ファッションに敏感な女性たちの夏のコー ディネートとして大ヒットしました。 この作品は当社にとってかつてないほどのロングセラー作品だったかもし れません。その頃は1年を通して“ロール夏かご”ばかり を製造していたように思います。 流行を反映するかのよ うに、日活映画で吉永小百合さんがこの夏かごを持って登場するシーンもありました。 私も両親や社員と連れだって映画館に出かけ、吉永小百合さんが黄色いスカー フを巻いた夏かごをたずさえて画面に現れると、みんな で一斉に拍手したことを覚えています。 当時は、倉庫に入らない作品が工場じゅうにあふれ、作れるだけ作った夏かごは、春に全国の問屋に卸されました。 秋には倉庫が 空っぽになり、次の年の春まで社員は製造のみに明け暮 れていた時代です。 これが5年ほど続きました。

1966年(昭和41年)、ビートルズの来日に当時の女学生が熱狂しました。 高校に入学した年の春、校庭にそれまで耳にしたことがないメロディーが流れ、以来外国を強く意識するようになりました。 せっせとアルバイトをして LP盤を購入し、それを毎日のように聞いていました。欧米ファッションの大きな波を感じたのも、ちょうどその頃です。

「おはなはん」と、 和風小物全盛期。

NHK朝の連続テレビ小説、第6作目の「おはなはん (樫 山文枝さん主演、1966年 (昭和41年) 4月4日~ 1967 年 (昭和42年)4月1日)」は、軍人の夫と死別した主人 公はなが、持ち前の明るさで明治・大正・昭和を生き抜いていく物語でした。この番組は国民的人気を博し、視 聴率は50%を超え、それを追って和装ブームが訪れま した。 この和装ブームに伴い、洋風な配色に趣向を凝ら した、当社の“篭付き巾着” が爆発的にヒットし、全国で販売されるようになりました。 Think Bee!の原点である配色の妙味、すなわちカラーコーディネートはこの 和風小物時代に培われました。

1969年(昭和44年)、三代目 河合史郎が当社に入社。 翌年の1970年(昭和45年) には、日本で最初の国際博覧会が大阪で開かれました。 いわゆる大阪万博です。 その万博の納入業者として、毎日のように大阪の千里丘陵通いをしていました。そして万博での見聞から和・ 洋小物のアイデアや、 材料の仕入先を海外に見出す考え方に目覚め、やがて当社も和風から洋風バッグに大きく方向転換していきます。